2015年6月の日本ヘリコバクター学会で北里大学薬学部の中村正彦准教授らのグループが、犬やネコなどペットと濃密な接触の介して、胃がんを引きおこす原因とされている「ヘリコバクター・ハイルマニイ」(ピロリ菌の亜種)と呼ばれる細菌に感染し、胃MALTリンパ腫という胃がんの一種を発症する可能性があると発表した。中村准教授らが行った調査によると、日本全国のピロリ菌陰性患者で胃MALTリンパ腫を患っている人の6割が「ヘリコバクター・ハイルマニイ」に感染していたという。
中村准教授は「ペットを飼っていることは、現状分かっている唯一の危険因子だ」と指摘している。
「ハイルマニイ感染者はピロリ菌感染者に比べて、胃MALTリンパ腫が発症する確率が7倍も高くなったというデータもあります。胃MALTリンパ腫は一般的ながんとは違い、原因となる菌を除菌することで治る確率が高くなります」(共同研究者の間部克裕北海道大学大学院医学研究科特任講師)
’94年のドイツ人研究者らの論文によると、ハイルマニイ陽性患者125人のうち、7割が動物との接触歴があったという。
-ハイルマニイは、どのような時に人に感染してしまうのか-
最も危険性が高いのが口の周りをペットに舐められる行為だ。ペットとのキスも危ない。
ペットと食器を使いまわしたり、自分が食べている物をペットに舐められたりして、間接的に唾液が体内に入ってしまえば同じこと。
菌を持った動物に舐められたあと、他の人とキスをすれば、相手が感染する可能性もゼロではない。
この細菌は排泄物にも潜んでいて、フンや吐瀉物を手袋なしで処理することも危険。

「細菌を持っているペットとの濃厚な接触、つまり口の周りを舐められたり、口移しで食べ物を与えたりといった行為で感染することがあります。特に粘膜と粘膜とが触れるほどの濃厚な接触は、感染の確率が高くなります」(宇根有美麻布大学獣医学部教授)
感染している犬やネコを見た目で見分けることは難しく、知らぬ間に感染していたり、自分が意図せずに恋人や家族にうつしてしまう可能性もある。
ハイルマニイは今のところ、診断が困難で、感染しているかどうかは、遺伝子検査の一つである「PCR法」ができる医療機関でしか確実な診断は行えないため、対策はペットから菌をもらわないようにすることしかないそうだ。
source:賢者の知恵(現代ビジネス[講談社],)

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