新型肺炎が感染拡大する中 西浦博氏は感染リスクを減らす対策として、「接触8割削減」を訴え、何も対策しなければ40万人超が死亡すると発表した。2020年2月、西浦北海道大学教授は北大の研究室を出て上京、厚労省で数理モデルを使ったデータ分析に着手した。

2月下旬、厚労省内にクラスター対策班が発足、西浦教授にデータ解析が託され、北大研究員10人が合流した。

中国の感染データをもとに西浦教授は日本の感染流行ピークを4月と見通し、「人と人の接触8割削減」を唱えて、被害想定を行った。

ほどなく数字をめぐる政府とのせめぎ合いが始まった。欧州ではコロナが猛威を振るい、重症者が人工呼吸器もつけられないまま次々に斃れている。西浦は基本再生産数(1人の患者が平均して直接感染させる人数)を欧州並みの「2・5」とし、8割削減のシミュレーション資料を政府の諮問会議に出した。ところが、知らぬまに「2・0」と感染力を低く見積もった数値に書き換えられていた。「この試算が表に出たら自分のものではないと公言しよう」と覚悟を決める。経済的打撃を嫌う政治家は「6割でどうだ」「だめなら7割では」と値切ってきた。西浦は突っぱねる。
4月7日、首相の安倍晋三(65)は緊急事態宣言を出す会見で、「最低7割、極力8割削減」と幅をもたせた。西浦は「あくまで8割。すぐに休業補償をしてハイリスクの場所を閉じてください」と主張する。「8割おじさん」の誕生である。
日本中の街から人影が消え、経済は真っ逆さまに落ち込んでいった。
4月15日、西浦は記者意見交換会で「まったく感染対策をしなかったら、約85万人が重症化し、その約半分(約42万人)が死亡する」という被害想定を発表した。即座に激しいバッシングが起きる。
https://dot.asahi.com/aera/2020092200032.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA