新型コロナウイルスの感染拡大によるイベント自粛が相次ぐ中、東京芸術劇場芸術監督で劇作家の野田秀樹が3月1日、自身の公式サイトで『公演中止で本当に良いのか』と題する意見を発表。相次ぐ公演自粛について、は演劇の死と訴え、
予定される公演は実施されるべき
ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、劇場閉鎖の悪しき前例をつくってはならない
との考えを表明した。
安倍首相が26日に、大勢が集まるイベント等を2週間自程粛するよう要請したことを受けたもので製作会社「NODAMAP」のウェブサイト上で発表した。
意見書 公演中止で本当に良いのか
コロナウィルス感染症対策による公演自粛の要請を受け、一演劇人として劇場公演の継続を望む意見表明をいたします。感染症の専門家と協議して考えられる対策を十全に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべきと考えます。演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です。スポーツイベントのように無観客で成り立つわけではありません。ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは「演劇の死」を意味しかねません。もちろん、感染症が撲滅されるべきであることには何の異議申し立てするつもりはありません。けれども劇場閉鎖の悪しき前例をつくってはなりません。現在、この困難な状況でも懸命に上演を目指している演劇人に対して、「身勝手な芸術家たち」という風評が出回ることを危惧します。公演収入で生計をたてる多くの舞台関係者にも思いをいたしてください。劇場公演の中止は、考えうる限りの手を尽くした上での、最後の最後の苦渋の決断であるべきです。「いかなる困難な時期であっても、劇場は継続されねばなりません。」使い古された言葉ではありますが、ゆえに、劇場の真髄(しんずい)をついた言葉かと思います。
野田秀樹
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