在日韓国人が日常生活で使ってきた通称名が消えようとしている。
法務省は2012年7月9日から新在留管理制度をスタートさせた(旧来の外国人登録証明書は、2012年7月9日以降の一定期間は特別永住者証明書とみなされるが、その一定期間内に特別永住者証明書に切り替える手続をする必要がある) 。
旧外国人登録証には通称名が併記できたが、 新制度による在留カードと特別永住者証明書には、通称名は記載されなくなった。身分証明書に通称名が記載されないことで、在日韓国人社会には微妙な影響が及んでいるのだという。

特別永住者証明書
法務省入国管理局サイトより

 
 
 
 
 
 
 

都内で会社を経営する一般永住者のAさんは、会社登記上の氏名は通称名を使っている。
最近、会社の車を名義変更しようとした際、本名が記載されている在留カードでは、氏名が一致しないといわれ困りはてた。
通称名が併記されている証明書の発行が可能と知り、名義変更はできたが、改めて通称名の必要を感じた。それだけではなく、長年日本に住む間に、通称名が本名のようになっていたことを痛感した。
同じ一般永住者のCさん。銀行に融資を申し込もうとしたとき、書類上の手続きで本名と通称名の確認が必要とされる場面に立たされた。本人確認とはいうが、まるで取り調べを受けているような気持ちになり、実に不愉快であったという。こうしたケースは増えている。
通称名と本名の間で困るケースは、それだけではない。特別永住者のBさんは、都内のビル管理会社で10年以上、通称名で働いている。新在留管理制度が始まった頃から、現場では本名のネームプレートを付けるよういわれている。
出向く警備の現場でやはり困りはてた。行く先々で怪訝な顔で見られるのを感じた。通称名を使うようになった背景や、本名記載となった理由を説明するのは実に煩わしかった。このため、出向先にかぎっては通称名のネームプレートを使用するようにして いる。
旧外国人登録証明書から在留カード・特別永住者証明書の切り替えは、今月8日で期限を迎えた。
新制度導入前から、旧外国人登録証と同様に、通称名が併記されるようにと要望する声はあった。しかし法務省は、外国人を管理するのに通称名は必要でないとの判断から、新制度には反映させなかった。これについて在日外国人の人権問題に取り組むコリアNGOセンター東京事務局長の金朋央さんは「外国人の生活実態を無視している」と指摘する。
一方で、比較文化学者の金両基さんは、通称名の併記がなくなったことには賛成している。
「通称名は、創氏改名の歴史から続く在日同胞の負の財産であり、清算すべきだ」と語る。金さんは、国籍以外は日本人と外国人は対等になるよう訴え続けている。
新制度によって、通称名が使えなくなったことにより、微妙な変化が生じている。在日韓国人の中には、いっそのこと日本国籍を取得しようとする人も現れている。
統一日報,2015年07月08日
http://news.onekoreanews.net/detail.php?number=78981&thread=04

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA