【記者】共同通信の小柳と申します。ちょっと話変わるのですけれども、先日、国連の人種差別撤廃委員会で対日審査会合の最終見解が公表されたのですけれど、その中で地方自治体による朝鮮学校への補助金の凍結などについて何か懸念が示されていたようなのですけれど、東京都では2010年度から補助金の支出、朝鮮学校に対して凍結してまして、昨年、支給しないことを決めて発表されてるのですが、知事はこの政策、どのようにしていくべきだと思いますか。
【知事】こういうのはやはり万機公論に決すべしでですね。要するに国益に沿わないことはやはり良くないということは片一方でありますけれども、しかし、どこの国の言葉でも、どこの国の子供でも教育を受ける権利はあるわけですから、そういうものを侵害してはいけない。そのバランスをどうとるのかなということが問題だと思います。
 だから、私が今問題にしているヘイトスピーチにしても、これが言論弾圧に使われるということであってはいけませんけれども、人種差別を助長するということであれば、国連の理念にも、我が日本国憲法の理念にもそぐわないので、そこのところをバランスをとってやる。そのためにはやはり皆さん方のメディアを含めて、広く議論をしていくということが必要だと思いますので。政治家もリーダーシップは必要ですけれど、独断先行でやって良いということではなくて、やったことの結果を有権者の皆さん方が、特に東京の場合、都民の皆さん方が、それで良いのではないかと、大多数の方が思われるようなコンセンサスづくりというのは多少時間がかかっても必要かなと思っていますので、今ご指摘の問題も、私はある意味でヘイトスピーチと同じような局面を持っていると思いますので、検討したいと思います。
【記者】産経新聞の福田です。ちょっと、確認なのですけれども、先ほどの朝鮮学校の関係のところで、ヘイトスピーチと同じ局面に来ているという表現だったのですけれども、これ、意味合いとしてはどういった……
【知事】同じ局面というのはですね、要するにヘイトスピーチ、私は、人種差別は良くないと思いますが、国会周辺のデモを規制して良いのかとなったら、それはデモとヘイトスピーチは別ですね。そういうことをよくバランスをとれということを言っているわけですよ。わかりますね。同じ基本的人権、日本国憲法が守った基本的人権の中で、表現の自由は滅茶苦茶重いのですよ。これは弾圧してはいけません。しかし片一方で、他の民族を差別するような言辞を弄するというのは、私は、基本的人権に反することであると。だからそれをちゃんとバランスをとってやりなさいと。片一方が行き過ぎても、片一方が行き過ぎても駄目だということを申し上げているので、だから非常に難しいのです。
 これは、次に教育の問題について言うと、全ての子供はきちんと教育を受ける権利があるのです。国際的に見ても、国際条約の中で見ても、日本国憲法について言っても。しかしながら、我が日本国の国益というものはあります。だから、日本の国が酷い国であって、日本人を殺せというような感覚でいる人がいたら、それは、私たちも許すことができません。仮にそういう傾向があれば、それはやめてくださいよと言わないといけないと、わかりやすく言えばですよ。朝鮮学校がそういうことをしていると言っているわけではありません。わかりやすく言っているだけです。だから、人種差別的なこと、日本人が差別されるということがあったりしてはいけませんので、そういうことと、教育を受ける子供たちの権利、これを両立させるということは、やはり相当考えて慎重にいかないといけない。
 だから、メディアでも、両方の極端になるとこれは話にならないので、それぞれいろいろな万機公論に決すべしというのはそういう意味であって、表現の自由ということと、今言った人種差別禁止ということで、私たち日本の国を愛し、日本の国旗を愛し、日本の国歌は国歌ですから、こういうものをしっかり守っていく立場とともに、しかし、子供には教育を受けさせたい。そして、例えばですね、私たちが海外に、皆さん方も海外に駐在することがあると思います。海外の日本人学校、ここで子供を預けるわけですよ。その時に、それを妨害されることがあれば、これはよろしくないと思いますので。やはり、自分がやられてほしくないことは他の人にもやるなということが全ての基本ではないでしょうか。
 だから、是非この問題の時には、皆さん方にお願いしたいのは、取材能力を発揮してお願いしたいのは、各国の日本人学校がどういう扱いを受けているのか。例えばこれを調べてみてどういう措置を受けているのか。それで、全くそういう措置は国際的にやらないことになっていますというならやらない。しかし、学校法人というか、国によって性格は違いますけど、学校という機関として認定された時には、何らかの形で、それは基本的にはそれぞれの国によりますけれども、補助とか援助はあるはずなのですね。だから、これはむしろ皆さん方の新聞社は全世界に取材網を持っていらっしゃるので、是非こういう議論の時にそういう材料を皆さん方が提供していただいて、なるほどな、この国はこうだなということになると、これは非常に参考になると思っていますので、是非よろしくお願いします。

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